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リフォーム時に使われる専門用語「墨出し」とは何か

墨出し

 

リフォーム工事において、壁や天井などを張り替えたり、電気の配線やガス・水道の配管を行ったりする際に必ずといっていいほど必要となるのが墨出しと呼ばれる作業です。ここでは、墨出しとはどのようなものであるのかについて説明するとともに、その作業が必要な理由や作業を行う際に使用する道具などについても紹介していきます。

 

図面を正確に立体化する

墨出しとは、建築現場において作業の目印となる線を表示することをいいます。工事を行う場合、まずは紙やパソコン画面上に図面を描きますが、その図面に記された寸法などを基にいきなり現場で建材を組み合わせたりするのは簡単なことではありません。複数の職人が共同で作業する場合はもちろん、単独作業の場合であっても、位置・距離・角度などを示す、何らかの基準が必要となります。墨出しは、壁や柱、窓、ドアなどを図面通りに正確に配置するための目安を記す目的で行われます。

 

さまざまな作業の種類

墨出しには、大きく分けて3つの種類があります。1つ目は陸墨(ろくずみ)で、水平を表示します。これを壁に記すことで、現場作業における高さの基準とします。腰墨や水墨ということもあります。2つ目は芯墨(しんずみ)で、心墨や真墨と書くこともあります。これは、壁や柱の中心位置を表示します。3つ目は返り墨(かえりずみ)で、特定の位置からの距離を示すために表示します。該当する場所に障害物があるなどして直接印をつけられない時に用いられます。逃げ墨ともいうこともあります。

 

現代でも重要性を失わない伝統的な手法

墨出しは現存する世界最古の木造建築とされる法隆寺の建材にもその跡が見つかっており、建築現場においては非常に古くから行われている手法です。かつては材木を組み合わせる際にずれや傾きなどが出ないようにするための目印として用いられたようですが、今でも基本的にその性格は変わりません。ただ、現在はそれに加えて配管や配線の位置を正確に決めるための目印としても重用されています。ちなみに骨組みなどの構造部分にかかる基準線を引くことを躯体墨出しといい、配管や配線といった内装部分の位置を決めるために行う作業は仕上げ墨出しといいます。

 

墨出しに使われる道具

墨出しを行う際は、墨つぼと呼ばれる道具が使われます。墨つぼは墨を含んだ綿の入った壺と糸車から成り、直線を引く場合はこの糸を繰り出してぴんと張り、材木に向かってはじきます。墨つぼの他には、粉チョークを使ったチョークラインと呼ばれる道具が使われることもあります。チョークは簡単に消せるため、外に露出している外壁などの墨出しによく使われます。さらに最近では振り子の原理を応用して正確な垂直線を決め、それを基準として縦線と水平線をレーザーで表示するレーザー墨出し器と呼ばれる装置も利用されています。